DVにひそむ加害と法律の側面そして現場で警察官が、DVの犯罪が起こったと判断した場合、加害者の疑いのある人が逮捕されます。ここで「加害者」ではなく、「加害者の疑いのある人」としているのは、逮捕されるのは必ずしもDVの加害者ではなく、暴力を振るってしまった被害者の場合もあるからです。ワシントン州ではMandatory Arrest Lawが定められており、実際に暴行・傷害が起こったり、身の安全が脅かされるという恐怖心を与える行動がとられたと判断された場合、加害者の疑いのある者は強制逮捕されることになっています。長年DVに耐え続けてきて、ついに我慢できなくなって相手をぶってしまったり、部屋から出してもらえずに、相手を押しのけた拍子に転ばせてしまったりなど、相手をコントロールしたり怖がらせようと思ってやった事ではなくても、相手が警察に通報すれば、これは立派な犯罪として成り立ちます。そして、Mandatory Arrest Lawに従わなくてはならない警察官としては、いくらDVの被害者ではあっても、暴力をふるった側を逮捕しなくてはいけません。
Mandatory Arrest Lawというのは、DVの被害者を守るために定められた法律ですが、残念なことに、暴力を振るってしまった被害者が逮捕されるケースもあります。自分が相手からの暴力に長年耐え、一度も警察にも通報せずにやってきたので、その仕返しで一度ひっぱたいたぐらい、たいした事はないだろうと考える被害者がたくさんいます。
夫婦や恋人関係の中にDVがある場合、自分が加害者に抱くような同情や共感を同じように相手から得られるということはまずないと考えてください。加害者の視点では、自分の言う事を聞かずに歯向かってくる被害者は、許されるべき者ではなく、法を持って罰されて当然だと思っているからです。
加害者から再三苦しめられ、相手に手を上げたくなるのはある意味で自然な反応かもしれません。しかし、その結果、法の場で「加害者」としての責任を取らなければいけなくなる事を十分に理解してください。
詳しくは下記までご連絡ください。
ドメスティックバイオレンスに関してのお問い合わせ
Eastside Domestic Violence Program (ゆう子まで)
(425) 746-1940 または (800) 827-8840
API Women & Family Safety Center (まいまで)
(206) 467-9976
著者: 三木優子