知人のDV被害への対応
それでは、もしあなたの知っている人がDVの被害にあっているかも知れないと感じたらどのように対応すればいいのでしょうか? 被害者の国籍が何であっても、自分が愛する人から暴力を受けているという事実はとても恥ずかしく、自分のせいでDVは起きていると信じている人がたくさんいます。また、加害者がそのように暴力を被害者のせいにしているケースもあります。
被害者とのコミュニケーションのとり方としては、おおまかに次の点に気をつけましょう。
- プライベートな場所で会話をする。とても個人的な事情を打ち明けられるかもしれません。なるべく人目を気にせず、偶然知り合いが立ち入ったりしないような場所にしましょう。子供なども周りにいないほうがいいでしょう。
- 秘密を守る。あなたは加害者とも知り合いで、すぐにでも暴力行為を止めるようにと注意をしたくなるかもしれません。また他の共通の友人達からもサポートを受けられるようにと、仲のいい数人に事情を話したくなるかもしれません。個人の情報というのは、いったんあなたの手を離れてしまうと、誰がどの様にそれを使うかはコントロールできなくなってしまいます。善意でした事でも、後で被害者を傷つける羽目になるかもしれません。また、あなたが個人の情報を誰にも漏らさないと分かれば、被害者も安心して相談ができるでしょう。
- 被害者に何が必要かは、被害者が決める。いったん誰かがDVを受けていると知ってしまったら、どうにかしてその人を助けたくなるのは当たり前です。すぐにでも家を出たほうがいいとか、今から警察に通報しよう等、論理的に考えれば筋が通ったアドバイスでしょう。でも当の本人にしてみれば、それはもっと複雑な状況なのです。家を出てどこにいくのでしょうか? 子供の学校は? まだ別れる決心もついていないのに? その決断をした事によって、影響されるのは被害者の人生であって、あなたのではありません。被害者にとって何が一番助けになるのか尋ね、できる限りそれに従いましょう。
- 暴力を被害者のせいにしない。せっかく勇気を出して自分の事情を話したのに、返ってきた返事が「あなたが何か怒らせるようなことしたんじゃない?」や「そんなのよくあることだから、文句を言わずにもっとがんばれば?」では、被害者はそれ以上助けを求めようとはしないでしょう。前回も言いましたが、被害者は加害者の暴力をコントロールする事はできません。もちろん被害者にも配偶者や恋人として完璧では無いところがあるでしょう。でもそれは暴力を振るわれる正当な理由としては成り立ちません。
この手順で話を聞いても、相手は「DVは無いから心配しないで」と言うかもしれません。その場合は無理に情報を聞き出そうとするのではなく、「そう、私の思い違いでよかった。もしまた何か話したい事があったらいつでも言ってね」と会話を終えるのがいいでしょう。そうすれば、もしも実際に相手がDVを経験している場合、いざという時に相談をし易くなります。
そして、話を聞くだけではなく、DVに関する情報や安全対策の立て方などの助けが必要な場合は、無料で日本語で相談を受けられる団体に連絡しましょう。
Eastside Domestic Violence Program (ゆう子まで)
(425) 746-1940 または(800) 827-8840
著者: 三木優子
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