(※この記事は2010年から2014まで北米報知紙上で連載されていたコラムを再掲載したものです)
ドメスティックバイオレンス(以下DV)のホットラインに相談をされる方の多くからよく「自分がDVの被害者なのか判らない」という質問をいただきます。一般的に、DVというのは配偶者や恋人など親密な関係にある人から受ける暴力をさします。DVには、精神的、身体的、社会的、経済的、性的な暴力、また、言語による暴力や脅迫を使って相手をコントロール•束縛し、相手の人間としての権利•自由を奪うことが含まれます。
- 暴力行為の例としては下記のような行動が含まれます。
- 精神的
- 相手の感情を無視する自尊心を失うようなことを言う
- 同性愛関係を持っていることを公表すると脅す
- 暴力を最小限しか認めない、または他人のせいにする
- 別れたら自殺すると脅す
- 身体的
- 物を投げて壊す
- 体をつかむ
- 押す
- 髪をひっぱる
- その場から逃げられないように引き止める
- 凶器を使って傷つけるまたは使うと脅す
- 首をしめる
- 社会的
- 男性の特権を主張する
- 相手の文化や伝統を馬鹿にする
- 重要な決断をパートナーの許可なしにする
- 友人や家族から孤立させる
- 移民局に通報すると脅す
- 子供の親権を取ると脅す
- 経済的
- 働く許可を与えない
- 出資の詳細を調べられる
- 隠れて収入を使い込む
- 別れても子供の養育費を払わない
- 相手の名前でクレジットカード口座を開き借金をする
- 性的
- 合意の無い性行為を強要する
- 無理矢理ポルノを見せる
- セックスを拒否する
- セックスの時に“冗談ぽく”荒々しい行動をとる
- 根拠も無く相手が浮気をしていると決め込む
- 避妊に協力しない
- 性病をわざとうつす。
- また、自分がDVを経験しているかどうかわからないと言われる方とは、以下のような点に注意しながら状況判断をしていきます。
- Intent (動機)
- その行動 (暴力)の目的は何なのか?
- その行動によって相手をコントロールしようとしているのか、それとも自分のコントロールを取り戻そうとしているのか?
- Context (前後関係)
- どの様ないきさつでその出来事(暴力)は起こったのか?
- 似たような出来事がその関係の中でよく起こるのか、それとも孤立した出来事なのか?
- Effect (影響)
- その出来事(暴力)の結果、だれがコントロールや、無理強い、搾取されたり、傷付けられているのか?
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