第20回 高齢者のうつ病について of はあとのWA

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この記事は、北米報知新聞に掲載されました。

第20回 高齢者のうつ病について

歳を重ねていくと、成人期までは精神的に何も問題がなかった人でも色々な理由が積み重なりうつ病になりやすくなる場合があります。健康面では特に脳梗塞などの循環器系の病気により後遺症の有無に関わらず、病後に気分が著しく落ち込むことがあります。またその他の高血圧症、心臓病、糖尿病、関節痛などの慢性的疾患も高齢者にとって、日々その病気と共に生きていくということになりストレスがかかるものです。

こうした慢性的疾患症に伴い、また前述した脳梗塞の後遺症などによって、今までの社交範囲が著しく狭くなって、自然と孤立をうみ、車社会のアメリカでは特にその状況がより高齢者の精神衛生に影響してきます。何か病気になるとその治療のために、毎週のように医療機関へ治療やリハビリなど時間を費やすことになることも少なくありません。周りの家族や友人はその方が治療に率先して取り組んでいると思い安心している場合もあるかと思いますが、ご本人にしてみると毎日のように治療やリハビリに励んでも、若いときのように体力的に明らかな回復が感じられないなど、精神的に落ち込む理由は様々です。

こちらの高齢者でもよくあることなのですが、日本の文化的にも、年代的にも特にうつ病などの精神疾患に関しては、根強い偏見や情報不足があるといつも感じます。そして前述したように高齢者特有の様々な体調の変化や環境の変化により、気分が落ち込んしまい、ご本人がそのままにしておくことでうつ病になる可能性が高くなります。そういった方々には、その症状が重症になる前に念のため専門医に相談してみたほうが良いと思います。治療も早ければ早いほど、その回復もご本人のもともとの状況まで戻る可能性が高くなります。

家族やご友人が

しかしながら高齢者ご本人にしてみると、家族や周りの人たちに迷惑をかけたくない、今まで大変なことでも我慢して生きてきたので今回も時間が経てば大丈夫なはずだから心配しないでほしい、歳をとると慢性疾患に伴いこういう生活になるから仕方がないなど、高齢者の方々がよく口にされます。しかしながら、ご家族や親しい友人の方からしてみると、高齢者の方が今後の人生を落ち込みながら費やすことをしょうがないから諦めてやっていってほしいと思う方はいないのではないでしょうか?

そういったお年寄りには、その方を大切に想っている人から、高齢者にとっての気分の落ち込みというのはありえることであるので、ゆっくり時間をとって、話に耳を傾けるのが良いと思います。ご本人の日々向き合っていかなくてはならない健康状態や高齢化に伴う生活の変化の大変さを理解すること、また周りの方からその人に対してどのように残りの人生を過ごしてもらいたいかという思いを伝えてみるのも良いでしょう。その周りにいるご家族や友人もいつかはそのような慢性疾患や生活の変化など通らなければならない道かもしれませんので、他人事ではありません。そのような、誠心誠意のある会話によって、高齢者の方が専門医に会ってみようと思うことも少なくありません。もし、高齢者専用の施設で暮らしている方は、その施設にメンタルヘルスのサービスが提供されているかどうかなど施設のスタッフに相談してもよいと思います。

大切なことは、歳をとるということイコール気分が落ち込んだり孤立するという方程式ではありません。確かに慢性疾患が歳を重ねるにつれて増えていくという実情はあるかもしれません。しかしながら、今までのように外出機会が減っても、精神衛生的に健康な高齢者はたくさんいます。もしお近くにそのような高齢者がいるようで、専門医に会うことを躊躇っている場合は、ご家族や友人の方と一緒にやソーシャルワーカーと会ってみるというも、良いかもしれません。

プロフィール記事

上田大二郎 Daijiro Ueda

ワシントン州認定ソーシャルワーカー並びに高齢者メンタルヘルススペシャリスト。エイズの講習会に参加した際、会社勤務では得られないような充実感に触れ一心発起し、マサチューセッツ州スミスカレッジ大学院で修士号取得。現在は非営利法人NAVOS勤務。就職活動時にJSSNに出会い、日本人コミュニティーをサポートできたらと思い参加。

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