第14回 がんナビゲーション② of はあとのWA

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この記事は、北米報知新聞に掲載されました。

第14回 がんナビゲーション ― がんだと診断されたら?  

前回では、お友達、ご家族、同僚、またはあなた自身ががんの疑いがある、またはがんだと診断されたとき、認定や専門といった第三者や病院自身が提供する評価結果を利用した病院の選び方について紹介しました。今回は、医師からの紹介、病院や医師からのケアを実際に経験した患者さんや家族からの感想や評価を利用した病院の選び方について紹介します。

診断までのプロセス

 がんの種類によって、スクリーニング・診断を実施するプロセスも医師の種類も異なります。自覚症状があって、かかりつけの家庭医に行き精密検査が必要とされ、専門医を紹介される場合があったり、スクリーニングで異常が見つかり、精密検査を勧められる場合もあります。診断についても、診断を行う専門医からかかりつけ医に伝えられて、かかりつけ医から告げられる場合、もしくは専門医から直接告げられる場合があります。

 電話又は、対面で診断を告げられるにしても、ショックから何を言われたのか、説明されたのかを理解することは難しい状態になる場合が多く、電話を切ったあと、もしくはクリニックや病院を出た後に何も覚えていない、どうしてよいかわからないという方も多くいらっしゃいます。そんなときは、電話をかけて、再度詳しい情報を説明してもらう、もしくはかかりつけ医に行って説明してもらう、もしくは、紹介された治療を行う医師の予約が比較的すぐに取れた場合は、その医師から詳しい説明を聞くこともできます。

 がんや治療法について情報を得るのに、インターネットを使用される方も多いですが、インターネットの情報が全て信用できるものとは限りません。信頼できる機関からの情報を参照するようにしましょう。以下はがん情報サイトの中で信頼のおける代表的なものですが、がんの種類別にも信頼できる多くのWebサイトがあります。

医療通訳サービスの利用

英語での医療用語は耳慣れずに不安になってしまうことがあるかもしれません。数十年アメリカに住んでいて日常生活には不自由ないという方でも、医療用語は難しいとおっしゃるかたもいらっしゃいます。無料で通訳をつけてくれる病院が数多くあるので、(訓練・認定を受けた通訳が電話または同席して通訳を行います)遠慮せずに利用できるか聞いてみてください。患者さんが英語が母国語の方で、パートナーが英語が母国語ではない方のためにも通訳を依頼することもできます。(例:夫がアメリカ人で、妻が日本人の場合など)

治療計画のための専門家医への受診

診断の次に、さらにがんの状態や進行などの詳しい検査を行い治療方針を決定するために、専門医(手術 (Surgeon)、放射線腫瘍医(Radiation Oncologist)、腫瘍内科医(Medical Oncologist ― chemotherapy, biological therapy, hormone therapy, stem cell transplantなどを施す),泌尿器科医(Urologist), 婦人科腫瘍医(Gyne-Oncologist)など)とのコンサルテーションを行います。

医師からの紹介

診断を行った医師、もしくはかかりつけ医などから、専門医への医師の紹介を受ける場合が多いでしょう。医師はそれぞれ個人のネットワーク(地域のネットワーク、交友関係、学会や所属する団体などを通じて)やカバーする地域があり、患者の状態、状況、希望などに応じて紹介を行います。私たちが手に入れられる、もしくは理解できる治療効果や技術に関する情報には限りがありますが、医師同士では共通の医療知識を基礎としてお互いに情報交換しあっているので、信頼できる紹介源となるでしょう。

 一方で、それぞれの紹介してくれる医師にも、ネットワークの広さ、最新の治療技術の知識、解釈などに違いがあります。例えば、多くのがんの種類において、第一治療法は手術というスタンダードがありましたが、放射線療法の技術なども発達し、がんの進み具合・広がり具合、年齢、健康状態などにもより、以前に較べると複数の選択肢から治療法を選べるようになっています。また、自分の専門以外である治療方法の治療について(手術医であれば、放射線療法、化学療法・ホルモン療法などに対して)の理解や知識の深さは、自分の専門に対する理解や知識とは異なるでしょう。人間同士の相性などもあります。

 紹介された医師と会ってみてしっくりこない場合、以前は断ったら失礼にあたるのではと思われたり、紹介された医師のところで治療を受けないといけないと思われる方も多かったのですが、他の医師を紹介して欲しいとリクエストしたり、患者さんやご家族が医師を探して、セカンドオピニオン(他の医師の意見)を求めることは現在では広く受け入れられていることです。

 どのように医師と話をしたらよいのか、家族、友達、同僚ががんになったときにどのようにコミュニケーションをとったらよいのか、というガイドがありますので、参考にしてください。

友人・知人からの口コミ

知人、職場の同僚や同僚の知人などどこかしらにがんに罹ったことのある方がいる場合が多いことから、口コミで医師や病院情報を集められるという方法もあります。何を基準にして、判断したらよいのかわからない中、口コミでの情報はひとつの情報源となるでしょう。医師や病院情報だけではなく、どのようなウェブサイトやリソースを信頼したらいいのか、などの情報を得られることができるのも口コミのメリットです。

レビュー・ランキングサイトの利用

 がん治療の効果、技術などを数値で測ることは医師や病院にとってとても難しく、評価方法、数値化する方法について研究・議論が続けられています。生存率や再発率などの数値はあるものの、100㌫正しい絶対的な評価や基準というのは存在しないといってもよいでしょう。例えば、5年生きる可能性が30㌫と言われたのに10年後も元気にしている方もいらっしゃいます。

 医師が医師を推薦している下記のランキングなども参考にはできます。ただし、ランキングには入っていないけれど、素晴らしい医師も多くいますし、新しく他の州からうつってきたばかりの医師はリストされていない可能性もあります。

 また、患者さん自身が医師・病院のサービスなどを評価し、レビューを書いているウェブサイトもあります。

 例えば、Health Gradesでは、「担当医を友人に薦めますか?」、「どれくらい信頼できたか」、「質問をよく聞き、答えてくれたか」、などを1-5段階評価で示しています。これらの情報はグーグルなどの検索結果に表示されることもあり、使用する患者さんも増えてきています。ただ、その医師や病院にかかった全ての患者さんが評価をしているわけではない、自己申告によるレビューだということを理解して頂ければと思います。

 前回でもふれましたが、医師にも、腕がいい、治療件数が多い、患者さん・他の医師から高い評価を受けている、研究に力を入れている、コミュニケーションに長けている、熱意がある、人間味がある、患者さんの価値観を理解して病気だけではなく体も心もケアする、診療年数が長い、などそれぞれ得意な分野がありますし、相性もあります。したがって、医師・治療施設の選び方は、情報収集とともに、自分にとっては、何が大事な要素なのか、安心できるのか、というのを考えることになるのではないでしょうか。

プロフィール記事

安達 万里子 Mariko Adachi

家族のがん闘病を通じ、がん診断から治療、リハビリ、終末期まで全ての局面において、患者と家族が医療チームの中心になるべきだと痛感。日本でIT/医療コンサルティングに従事し、NYの大学院にて医療経営を学ぶ。現在シアトルのがんセンターに勤務。

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