DVで911に通報するとどうなるの?

※この記事は2010年から2014まで北米報知紙上で連載されていたコラムを再掲載したものです)

911とは日本でいう110番で、事故や緊急の場合に最寄の警察署に通報をする電話番号です。DVで知っておきたい事は、911は、実際に身体的に暴力を受けていなくても利用できるということです。例えば、自分の恋人が頻繁に暴れて物を投げて壊したり、離婚をした相手が、夜遅くに車で後をつけてくるなど、自分の身の安全が危険にさらされていると感じるときも通報することができます。そして、これはあまり知られていない事実ですが、ワシントン州では、911に通報する妨げをする行為(携帯電話を壊したり、電話の線を抜くなど)自体が重い罪とみなされます。

実際に通報をする際は、何が起こっているのか、名前と住所(もしくは現在地)を伝える事が肝心です。携帯電話を使う場合は、ボタンを押すだけで911に自動に電話がかかる機能をオンにしておいたり、緊急事態にGPSが入るようにしておくなども役立ちます。また、事件が起こった場所やその時点でどれだけの警察官が出払っているかによって、現場に到着するまでの時間が5分の事もあれば30分以上かかる場合もあるので、911に掛けたからひとまず安心というわけではなく、警察官が現れるまで安全を保てる場所を確保しておく必要があるでしょう。

警察官が現場に到着すると、当事者に別々に事情聴取を行います。この時加害者が近くにいると、恐怖のため正直に何が起こったのか話しづらい場合、別室で聴取が行われるのが好ましいのですが、警察官の身の安全も考慮しなくてはいけないため、お互いのパートナーが見える位置で聴取が行われるのが基本です。

このとき、自分の英語に自身がなかったり、気持ちが高ぶっていて状況がうまく説明できない時などは、電話での通訳を頼む事ができます。これは通報する時でも同じで、「Japanese please」といえば、通訳を通じて通報をすることができます。英語に自信のない親が、バイリンガルの子供を通訳代わりにするということがありますが、DVの具体的な内容などは、子供にとって心の負担や、トラウマになることなので、なるべく避けましょう。

事情聴取では、両方の当事者からDV通報に至った経緯を聞くだけではなく、体についたアザや傷跡なども、目に見えるものがあれば証拠として写真に収められます。もしも、物を壊されたり、壁などに穴を開けらりたりした場合も、この時に警察官に写真を撮ってもらいましょう。

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