(※この記事は2010年から2014まで北米報知紙上で連載されていたコラムを再掲載したものです)
高齢者と障害者のために国が運営する医療保険制度にメディケア(Medicare)があります。65歳から一般加入資格を得ることができますが、今月はその仕組みや内容について解説します。
65歳になったら加入できるメディケアにはどんな種類があるのでしょうか?
まずメディケアは64歳以下でも障害があると認められた人も加入できます。メディケアの種類にはパートA、B、C、D、メディギャップ(Medicare Supplement)に分かれます。
■ パートA(入院保険):ソーシャル・セキュリティー受給資格のある方(通常アメリカで10年以上働いた方)は無料で受給できます。65歳以上でも永住権5年以下の場合は月額451㌦(2012年度額)で購入することができます。カバー内容は、入院費、リハビリや治療目的でのナーシングホームでの短期滞在、ホスピス、在宅看護等です。
■ パートB(入院以外の医療保険):月額99・90㌦(2012年度額)が基本掛け額となり収入により多く払う場合もあります。
■ パートC(Medicare Advantage Plan):民間の保険会社がパートAとBをまとめて提供する保険。保険会社や地域によりプランが色々あり、保険料ゼロのプランからパートDや歯科保険付きのプランもあります。
■ パートD(処方箋薬保険):民間の保険会社から購入することができます。薬を飲んでいない場合やその他の理由で処方箋薬保険に加入しない場合は将来加入する際にペナルティーが発生します。ペナルティーの計算は以下となります。
National base beneficiary premium(※)の1㌫X未払い月(通常はパートAとBに加入したときから数えます)
※2012年は31・08㌦。毎年金額が更新されます。
■ メディギャップ(Medicare Supplement):パートAとBだけだと自己負担額が多く、適用されない医療費も多いためメディギャップでそれらをカバーするためのサプリメントプランを購入することもできます。
メディケアの申し込みはいつから、どこでできますか?
ソーシャル・セキュリティー受給資格のある方でしたら65歳の誕生月の3カ月前にメディケアカードが郵送されてきます。この場合自動加入です。実際に使用できるのは65歳の誕生月からとなります。その他の場合は誕生月をはさんで前後3カ月以内(合計7カ月以内)にソーシャル・セキュリティーオフィスで加入手続きができます。オフィスでは無料の通訳サービスを利用することもできます。
メディケアのプランをどこで調べたらいいのでしょうか?
パートCとDとメディギャップ(Medicare Supplement)に関してはメディケアのサイトからプランを探すことができます。ワシントン州ではStatewide Health Insurance Benefits Advisors (SHIBA) Helpline 1ー(800)ー562ー6900でメディケアのプランに関しての相談ができます。
メディケアパートAとBの支払いを負担してくれるプログラムはありますか?
パートAとBの支払いが困難な方は州政府が支払ってくれるメディケア・セービング・プログラム(収入や財産の金額の制限あり)を利用することもできます。パートDに関してはお薬の一部を負担してくれるExtra Helpを利用することもできます。2012年のExtra Helpの加入資格は年収が1万6755㌦まで(夫婦の場合は2万2695㌦まで)そして財産が1万3070㌦まで(夫婦の場合は2万6120㌦まで)となってます。
ペナルティーがあると聞きましたが?
最初のメディケア加入期限(誕生月をはさんで前後3カ月以内)に遅れると毎年1月から3月の間にメディケアに加入できますがペナルティーが発生します。メディケア開始日がその年の7月からとなり、毎月の保険料が高くなります。例えば65歳になっても、本人もしくは配偶者の勤務先の健康保険がメディケアのクレジットとして認められない内容の保険の場合にはメディケア関連保険に加入する期限に遅れるとペナルティーの発生の可能性があります。
まとめ
メディケアの加入の際にはパートAとBもしくはパートAだけに加入するかどうかを検討する。
勤務先の保険担当者に勤務先の健康保険がメディケアのクレジットとして認められるかどうかを65歳の誕生月の3カ月前には確かめる。パートAとBの加入を決めたらパートAとBをまとめたパートC、もしくは医療費の自己負担を軽減するためのメディギャップに加入をするかどうか決める。そしてパートDに加入するかどうかを検討する。
(アダムス理奈)
【筆者紹介】
アダムス理奈
ケース・マネジャー。アジアン・カウンセリング&リフェラル・サービス(ACRS)にて日本人高齢者向けサービスを提供。シアトル日系そして日本人コミュニティーに福祉サービスを紹介し、活用してもらうことを目標としている。電話での相談だけでなく日本人が住むシアトル市内のシニアアパート2軒で、月一回の相談日を設けて訪問も行う。ACRSに関しては電話(206)695-7556、ウェブサイトwww.acrs.orgまで。
連絡先
メディケア
www.medicare.gov / 電話:1(800)633-4227
ソーシャル・セキュリティーオフィス
www.ssa.gov / 電話:1(800)772-1213
Statewide Health Insurance Benefits Advisors (SHIBA) Helpline
電話:1(800)562-6900