第8回 役に立つ ドメスティックバイオレンス基礎知識 ① of はあとのWA

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この記事は、北米報知新聞に掲載されました。

第8回 役に立つ ドメスティックバイオレンス基礎知識 ①

ドメスティックバイオレンス(以下DV)のホットラインに相談をされる方の多くからよく「自分がDVの被害者なのか判らない」という質問をいただきます。一般的に、DVというのは配偶者や恋人など親密な関係にある人から受ける暴力をさします。DVには、精神的、身体的、社会的、経済的、性的な暴力、また、言語による暴力や脅迫を使って相手をコントロール•束縛し、相手の人間としての権利•自由を奪うことが含まれます

  • 暴力行為の例としては下記のような行動が含まれます。
  • 精神的
  • 相手の感情を無視する自尊心を失うようなことを言う
  • 同性愛関係を持っていることを公表すると脅す
  • 暴力を最小限しか認めない、または他人のせいにする
  • 別れたら自殺すると脅す
  • 身体的
  • 物を投げて壊す
  • 体をつかむ
  • 押す
  • 髪をひっぱる
  • その場から逃げられないように引き止める
  • 凶器を使って傷つけるまたは使うと脅す
  • 首をしめる
  • 社会的
  • 男性の特権を主張する
  • 相手の文化や伝統を馬鹿にする
  • 重要な決断をパートナーの許可なしにする
  • 友人や家族から孤立させる
  • 移民局に通報すると脅す
  • 子供の親権を取ると脅す
  • 経済的
  • 働く許可を与えない
  • 出資の詳細を調べられる
  • 隠れて収入を使い込む
  • 別れても子供の養育費を払わない
  • 相手の名前でクレジットカード口座を開き借金をする
  • 性的
  • 合意の無い性行為を強要する
  • 無理矢理ポルノを見せる
  • セックスを拒否する
  • セックスの時に“冗談ぽく”荒々しい行動をとる
  • 根拠も無く相手が浮気をしていると決め込む
  • 避妊に協力しない
  • 性病をわざとうつす。
  • また、自分がDVを経験しているかどうかわからないと言われる方とは、以下のような点に注意しながら状況判断をしていきます。
  • Intent (動機)
  • その行動 (暴力)の目的は何なのか?
  • その行動によって相手をコントロールしようとしているのか、それとも自分のコントロールを取り戻そうとしているのか?
  • Context (前後関係)
  • どの様ないきさつでその出来事(暴力)は起こったのか?
  • 似たような出来事がその関係の中でよく起こるのか、それとも孤立した出来事なのか?
  • Effect (影響)
  • その出来事(暴力)の結果、だれがコントロールや、無理強い、搾取されたり、傷付けられているのか?

背後関係に眠るDVの有無

  • では例として、「恋人の車の鍵を隠した」という行動を見てみましょう。
  • 例1:自分の恋人が会社の同僚と仲良くなるのが許せず、また経済的に独立していくのが嫌だったので、鍵を隠して出社できないようにした。
  • 例2:自分の恋人がお酒を飲んで酔っ払っていても、運転すると言って聞かない。過去に飲酒運転で事故も起こしている。頼んでも話が通じないので、鍵を隠した。
  • 例1では、動機は恋人への嫉妬と、自分に経済的に依存しなくなる=束縛する事が難しくなる、ということが挙げられるでしょう。この行動の結果として被害者は仕事(経済力)や友人を失うことになるでしょう。このように社会から孤立させることはDVの悪化につながる大きな要因です。
  • 例2では、動機は恋人の身の安全を案じてという事でしょう。そして過去にも同じような事があり、恋人が法のトラブルに巻き込まれたという事実もあります。そういった事実をふまえると、恋人の許可無しにでもその場で判断を下すことが必要になって来るでしょう。鍵を隠すことによって一時は不便になるでしょうが、DVのような長期に及ぶ影響はないでしょう。
  • このように、背後関係を知ることによってDVかどうかの判断がしやすくなります。
  • またDVの特徴とは
  • 加害者はDV行為・行動を、子供時代の経験や社会からのメッセージなどから学ぶ
  • パターンは繰り返し、程度が悪化する強制的で、特定の人に的をしぼっている
  • 同性愛、異性愛(*)を問わず、どのような人種、文化、階級、職種、宗教、年齢、学歴の人でも、被害者、加害者になる可能性がある(*ただ異性愛関係にあっては女性が被害者になる確率のほうが高い)。

隠れた犯罪、少ない報告件数

  • DVは隠れた犯罪とも呼ばれているように、とても頻繁に起こっているのですが実際に報告されるケースは全体の30㌫だと言われています。たいていの被害者は、DVは自分のせいで、暴力を経験しているのは恥ずかしいと感じています。また日本ではよくある事だからと、ある程度までDVが悪化しないと(ひどい身体的暴力を受けるなど)助けを求めない被害者がたくさんいます。ですが、暴力を選んでいるのは加害者であって、それは被害者が変えられるものではありません。被害者が出来ることは、自分の心と体の安全を守るためにはどんな選択肢があるのかを知る事とDVを理解している個人や団体からサポートを受けることです。
  • 自分がDVにあっていると思われる人や、実際にDVかはわからないけれども日本語で質問がしたいという人は、下記の団体に無料で相談できます。
  • Eastside Domestic Violence Program (ゆう子まで)
  • (425) 746-1940 または(800) 827-8840




プロフィール記事

三木優子 Yuko Miki

ワシントン大学で女性学を学ぶ。性差別や人種差別問題に興味を持ち、自らの移民としての経験を活かしながら人を助ける仕事に就くことを決意。現在イーストサイドにあるDV援助団体でアドボケート・カウンセラーとして働く。

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