第3回 認知症の治療・介護 of はあとのWA

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この記事は、北米報知新聞に掲載されました。

第3回 認知症の治療や介護

Q:家族が最近認知症と診断されました。認知症の治療や介護に関して気を付けることはありますか?

認知症の原因は現在はっきりと解明されていませんが、1)頭部への強い打撃やケガ、2)脳細胞の萎縮、3)遺伝によるもの、4)脳内の血流の問題、と大まかに4つの理由があると現在言われています。高血圧症の方は認知症になり易く、また、バイリンガルの方はモノリンガルの方に比べるとなりにくいとも言われています。

認知症は大まかに数種類あります。アルツハイマー型認知症は、脳細胞の萎縮が何らかの原因で進行して発症するものです。2つめは血液循環系に問題が生じた場合におこり易い脳血管性、又は脳動脈硬化からくる認知症。また、他の神経性病気(パーキンソン病)からくる認知症や、症状自体にパーキンソン病と似た症状が併発するレビー小体型認知症もあります。またその他にも感染症(HIVなど)原因でおこる認知症や、65歳以前に発症する若年性認知症もあります。

皆さんがよく耳にするのはアルツハイマー型認知症ではないでしょうか。こちらは女性が診断されることが多く、一方男性に多いと言われるのが、脳血管性認知症です。脳血管性はその名の通り、脳血管の異常(脳梗塞、脳卒中、脳出血など)から起きるものです。この二つの認知症がおそらく大半ではないでしょうか。

認知症の症状は急激に悪化しません。もし知り合いの方やご家族の方で混乱や幻覚、妄想、記憶の喪失を急に起こした場合、他の病気(例えば急性感染症:尿道炎など)を発症しているかも知れません。これはせん妄と呼ばれ、原因の病気の治療を行えば、基本的に認知能力は回復します。すぐに検査ならびにその病気の治療を受けることが一番です。

一方、認知症の進行は、基本的に徐々に症状が悪化していきます。治療方法は処方薬がありますが、特効薬的なものはなく、症状の悪化の下降線をより緩やかにするのが主目的なようです。限られた種類ならびにその効果は患者さんによって様々です。前回書きましたが、疑いがある場合は高齢者専門の精神科医、もしくは神経科医に相談することをお勧めします。理由は、高齢者の方は認知症発症以前に持病を抱えていることが多く、他の病気との処方薬間でマイナスな作用が起こる可能性や、レビー小体型認知症のように幻覚を抑える処方薬の選択に最善の注意が必要な場合があるからです。

認知症の患者さんは些細な変化にも反応します。住居空間もできるだけ同じ施設で慣れ親しんだ介護スタッフによるものが理想的です。引越しを考えている場合、現状より症状が悪化した場合でもできるだけ維持できるような住居、認知症患者の介護経験の豊富なスタッフがいる施設を最初に時間をかけて探すことが、後々患者さんへの負担、ならびに周囲の人の負担も軽くします。

プロフィール記事

上田大二郎 Daijiro Ueda

ワシントン州認定ソーシャルワーカー並びに高齢者メンタルヘルススペシャリスト。エイズの講習会に参加した際、会社勤務では得られないような充実感に触れ一心発起し、マサチューセッツ州スミスカレッジ大学院で修士号取得。現在は非営利法人NAVOS勤務。就職活動時にJSSNに出会い、日本人コミュニティーをサポートできたらと思い参加。

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