第10回 DVで911に通報するとどうなるの? of はあとのWA

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この記事は、北米報知新聞に掲載されました。

第10回 DVで911に通報するとどうなるの?

911とは日本でいう110番で、事故や緊急の場合に最寄の警察署に通報をする電話番号です。DVで知っておきたい事は、911は、実際に身体的に暴力を受けていなくても利用できるということです。例えば、自分の恋人が頻繁に暴れて物を投げて壊したり、離婚をした相手が、夜遅くに車で後をつけてくるなど、自分の身の安全が危険にさらされていると感じるときも通報することができます。そして、これはあまり知られていない事実ですが、ワシントン州では、911に通報する妨げをする行為(携帯電話を壊したり、電話の線を抜くなど)自体が重い罪とみなされます。

  • 実際に通報をする際は、何が起こっているのか、名前と住所(もしくは現在地)を伝える事が肝心です。携帯電話を使う場合は、ボタンを押すだけで911に自動に電話がかかる機能をオンにしておいたり、緊急事態にGPSが入るようにしておくなども役立ちます。また、事件が起こった場所やその時点でどれだけの警察官が出払っているかによって、現場に到着するまでの時間が5分の事もあれば30分以上かかる場合もあるので、911に掛けたからひとまず安心というわけではなく、警察官が現れるまで安全を保てる場所を確保しておく必要があるでしょう。
  • 警察官が現場に到着すると、当事者に別々に事情聴取を行います。この時加害者が近くにいると、恐怖のため正直に何が起こったのか話しづらい場合、別室で聴取が行われるのが好ましいのですが、警察官の身の安全も考慮しなくてはいけないため、お互いのパートナーが見える位置で聴取が行われるのが基本です。
  • このとき、自分の英語に自身がなかったり、気持ちが高ぶっていて状況がうまく説明できない時などは、電話での通訳を頼む事ができます。これは通報する時でも同じで、「Japanese please」といえば、通訳を通じて通報をすることができます。英語に自信のない親が、バイリンガルの子供を通訳代わりにするということがありますが、DVの具体的な内容などは、子供にとって心の負担や、トラウマになることなので、なるべく避けましょう。
  • 事情聴取では、両方の当事者からDV通報に至った経緯を聞くだけではなく、体についたアザや傷跡なども、目に見えるものがあれば証拠として写真に収められます。もしも、物を壊されたり、壁などに穴を開けらりたりした場合も、この時に警察官に写真を撮ってもらいましょう。

DVにひそむ加害と法律の側面

  • そして現場で警察官が、DVの犯罪が起こったと判断した場合、加害者の疑いのある人が逮捕されます。ここで「加害者」ではなく、「加害者の疑いのある人」としているのは、逮捕されるのは必ずしもDVの加害者ではなく、暴力を振るってしまった被害者の場合もあるからです。
  • ワシントン州ではMandatory Arrest Lawが定められており、実際に暴行・傷害が起こったり、身の安全が脅かされるという恐怖心を与える行動がとられたと判断された場合、加害者の疑いのある者は強制逮捕されることになっています。
  • 長年DVに耐え続けてきて、ついに我慢できなくなって相手をぶってしまったり、部屋から出してもらえずに、相手を押しのけた拍子に転ばせてしまったりなど、相手をコントロールしたり怖がらせようと思ってやった事ではなくても、相手が警察に通報すれば、これは立派な犯罪として成り立ちます。そして、Mandatory Arrest Lawに従わなくてはならない警察官としては、いくらDVの被害者ではあっても、暴力をふるった側を逮捕しなくてはいけません。
  • Mandatory Arrest Lawというのは、DVの被害者を守るために定められた法律ですが、残念なことに、暴力を振るってしまった被害者が逮捕されるケースもあります。自分が相手からの暴力に長年耐え、一度も警察にも通報せずにやってきたので、その仕返しで一度ひっぱたいたぐらい、たいした事はないだろうと考える被害者がたくさんいます。 
  • 夫婦や恋人関係の中にDVがある場合、自分が加害者に抱くような同情や共感を同じように相手から得られるということはまずないと考えてください。加害者の視点では、自分の言う事を聞かずに歯向かってくる被害者は、許されるべき者ではなく、法を持って罰されて当然だと思っているからです。
  • 加害者から再三苦しめられ、相手に手を上げたくなるのはある意味で自然な反応かもしれません。しかし、その結果、法の場で「加害者」としての責任を取らなければいけなくなる事を十分に理解してください。
  • 詳しくは下記までご連絡ください。
  • ドメスティックバイオレンスに関してのお問い合わせ
  • Eastside Domestic Violence Program (ゆう子まで)
  • (425) 746-1940 または (800) 827-8840
  • API Women & Family Safety Center (まいまで)
  • (206) 467-9976

プロフィール記事

三木優子 Yuko Miki

ワシントン大学で女性学を学ぶ。性差別や人種差別問題に興味を持ち、自らの移民としての経験を活かしながら人を助ける仕事に就くことを決意。現在イーストサイドにあるDV援助団体でアドボケート・カウンセラーとして働く。

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